フェルトができるしくみ 〜電子顕微鏡で見てみました〜

針でつつくだけでどうしてフェルトができるのでしょうか?

加工前の羊毛とつついた後のフェルトになったものを電子顕微鏡でみてみました。

1本1本の羊毛(毛糸のもと)は直径が10〜50ミクロンの太さで、表面は写真のようにウロコ状のスケールを持っています。これは髪の毛ではキューティクルといわれているものです。このスケールは竹の子の皮のように根元から先に向かって重なり合っています。

羊毛を先端から引っ張るとスケールが抵抗となりますが、根元のほうから引くと抵抗も無く移動します。また、スケールが反対方向に作用しあうと絡み合います。この性質を利用したものがニードルフェルトです。

ニードルフェルトで使用する針は特殊で、針の先端部分に小さな溝が数個つけられています。針で羊毛をつつくと、羊毛が上下に移動します。すると細い羊毛がからまり、からまった羊毛はスケールのおかげではずれなくなるため、固定されてフェルトになるのです。

 
(日立走査電子顕微鏡 S-3400Nで撮影)

このからまった羊毛の間にLEDの光が反射して、ぼわ〜っとしたやさしいあかりになるのではないかと思われます

LEDと羊毛という意外な組み合わせがやわらかなあかりをつくりだしてくれます。